「おお振り」×「ダイヤのA」

□3日目、試合前!
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「何だ、あれ!すげぇ!」
青道高校Aチームの面々は、驚き、声をあげる。
それは前日のBチームとまったく同じリアクションだった。

「次、ショート!」
監督の百枝の声がグラウンドに響く。
合宿3日目、ついに西浦高校と青道高校Aチームの練習試合。
西浦高校の面々が、試合前のシートノックを行なっていた。

「何だ、あれ!すげぇ!」
青道高校Aチームの面々は、驚き、声をあげる。
それは前日のBチームとまったく同じリアクションだった。
若い女性である百枝が、強豪校の監督に引けを取らないノックを披露したからだ。
ゴロもフライも簡単には捕れない絶妙の場所に飛ぶし、キャッチャーフライは綺麗な垂直だ。
もしかしたら片岡よりも上手いかもしれない。

「なるほど。礼ちゃんと気が合うわけだね、こりゃ。」
御幸はベンチの中から、百枝のノックを見ていた。
礼ちゃんこと青道高校副部長の高島は、女だてらに野球バカだ。
その高島と意気投合するのだから、百枝も相当の野球バカなのだろう。

ふと見ると、ネット裏にはBチームのメンバーが集まっている。
今日のBチームは、試合観戦するも自主練するも自由ということになっている。
観戦するのはどうやら半分ほどのようだ。
その中にはもちろん沢村もいて、最前列を陣取っている。

「何かあったら、オレ、投げますから〜!」
沢村はベンチの片岡に向かって、声を張り上げた。
ベンチからは部員たちが「黙って見とけ!」と叫んでいる。
昨日は落ち込んでいたようだが、今日はすっかり元気になったようだ。

ふと見ると、3年生たちも何人か見に来ている。
その中で、クリスと昨日捕手を勤めた小野が何やら真剣に話し込んでいた。
彼らがじっと注視しているのは、ブルペンで投球練習をする三橋だ。
御幸はチラリとしか見ていないが、三橋の球筋はどうも普通の投手と違う気がする。
彼らもその話をしているのではないだろうか。

「事前に聞いちゃいけねーんだったよなぁ。。。」
御幸はポツリとそう呟いた。
2人の捕手の意見を聞きたいが、今回は禁止事項だ。
御幸は少々恨めしい思いで、百枝のノックに視線を戻した。
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