他ジャンル

□キミと歩く道
1ページ/1ページ




ねえ、キミ。

例えばキミが、ワッカさんと、ビサイドの海に入って、ブリッツの練習をする時。

試合でスフィアプールに、飛び込む時。

私は、まだ少し、怖くなってしまうんだ。


キミのいない、二年間を思い出して。





だけど、ティーダ。

いなかったなんて信じられないほど、この村に、世界に、自然に帰ってきて、受け入れられて。

ティーダのそんな姿を見ているだけで、
幸せなのも本当なんだよ。






「ユウナ!」

浜辺でぼーっと、ブリッツの練習を見ていたら、急に目の前に飛び込んでくる、金色の髪と、青い瞳。

「起きてるッスか?」

私の目の前にしゃがんで、目の前で手のひらをひらひら。

本当はね?
そんな仕草ですら、嬉しくて胸が詰まりそうなんだ。

「起きてるッスよ!」

笑いながら答えれば、目の前に差し出される、キミの手。


指先に触れる、キミの手の感触に、ホッとして。

そおっと、握り返して、みる。と。


「よっ、と!」

「きゃ!」

ぎゅっと繋いだ手ごと、腕を引かれて、強引に立ち上がると、楽しそうに笑うキミ。

「こういう時は、抱きついてきてもいいんだけど!」

「二年の間に、身のこなしが良くなっちゃったんだよ」

「そりゃ、残念!」

笑い声と一緒のリズムで、浜辺から森へと歩く。

キミと、二人。







「あ!ワッカさん達は?」

「・・・ホントは寝てただろ?」

「・・・ちょっとぼーっとしちゃいました」

「昼飯だー!って皆であんなに騒いでたのに気づかないなんてさ・・・ホント、何かあった?」


キミの目は。

真っすぐに私を、射抜く。
最初に出会った時からずっと。


キミの前では、私。
いつだって、普通の女の子になってしまう。


だから。



「・・・ちょっとだけ、怖いんだ」

「怖い?」

「うん、ちょっとだけ」


朝も昼も夜も。

キミは二年間を埋めるみたいに、ずっと一緒にいてくれる。

いつだって、私の隣に、キミの笑顔。

村の人たちとも、チームの皆とも、すごく仲が良い、キミ。


まるで、あの二年間が、なかったみたいに。


「今でも・・・ティーダがね、海に入って、ブリッツの練習をしてる時、試合でスフィアプールに、飛び込む時・・・少し離れて見ててね、そういう時に少しね・・・怖くなっちゃう」

「・・・参ったッスねー」

「うん、ごめんね」



私の手を握る、キミの手。

その手に触れてもらえなかった時のこと、忘れられない。


あの、空と海との境目が分からない、

青い、蒼い世界にキミが溶けていった時のこと、忘れられない。



だって、キミが、だいすきだから。

だって、もう、キミのいない世界なんて。


  考えられない、から。





「あのさユウナ・・・オレ、水の中、すげえ好き」

「うん」

「ブリッツも、やめられない」

「うん」

「でも、ユウナのことも、離せない」

「ティーダ、あのね」



「あのさ、だから、さ」



あの日、してくれたみたいに、後ろから抱きしめてくれる、優しい、腕。

温かくて、力強くて、背中いっぱいに感じる、熱。

  ティーダの、熱。



「ユウナが怖くないように、毎日だって、約束するよ」

「え?」

「毎日、約束する!明日も、明後日も、一ヶ月後も、一年後も・・・10年後も」


力強い腕が、私の肩の向きを、変える。

回る世界の終わりに、私の目に飛び込んでくるもの。



お日様みたいに、眩しい、

大好きな、キミの・・・ティーダの、笑顔。



「あの時はさ、祈り子たちが、って言ったけど、それだけじゃなくてさ・・・ユウナが繋いでくれたんだ、オレと、この世界」

両肩に、温かい手のひら。

「旅してさ、探して・・・探して、くれたんだろ?オレのこと。人に話して、人に聞いて。『忘れないで』って言ってくれて。だからさ?」

私の目の前に、綺麗な青い、瞳。
本当は、私の大好きな・・・海の色。


「オレがいまここにいるのは、ユウナがいるから!
 だからさ、消えない!大事にする!って、誓うよ。毎日!ずっと、ずっとさ」


いつだって、迷いなく未来を語ってくれる、
キミの、その、唇。


『信じてるよ』の言葉を、
私も、伝えたいよ。


ねえ、ティーダ?

重なった唇越しに、
この気持ち全部。

伝えられたら、いいのに、ね。





「・・・10年も、誓ってくれるの?」

「もっちろんっスよ!」



胸の痛みも不安も。
この先、また胸を覆うことがある、

きっとある、けど。


キミと繋いだ手と。

キミの、笑顔と。

3650回の誓いがきっと、


私に前を向かせてくれるから。





永遠のナギ節を、キミと二人。

生きていく勇気を手に入れた、


  今日は最初の、
  
  誓いの日。










2011.07.19



大好きなまのさんへ

がっかりクオリティーでごめんなさい(土下座)



I

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ