■Novel(ファンタジー)

□Full moon
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 カタリ、と写真立てを棚に置く。

「明日、とうとう試験本番か…」

 僕の職業は占い師。世間では術師と言う事が多い。占いと言っても、人の人生を視るだけが仕事ではない。お払いや低級の魔物退治、帝国兵等と共に魔人の封印、なんかも仕事の内で。結構ハードなものだった。ただ、そんな術師でも手を出さない仕事がある。それが、魔族との対峙だ。
 魔族の数はとても少なく、希少な生き物である。だが、その力は計り知れず、一度魔術を使えばその右に出るものはいないと言う。生命力も強く、寿命が人の何倍も長い。魔王ともなれば、考えただけで身震いしてしまう程だった。
 魔族の話はさて置き、僕は術師の昇級試験を明日に控えていた。試験内容は魔人の封印。普通なら帝国兵を数名引き連れての仕事内容である。それをたった一人でこなさなくてはならない。なぜ、この様な厳しい試験内容であるかと言えば、その試験に受かりさえすれば、僕は術師として最高の地位を与えられるのだ。その地位の名を冥師と言う。今現在、現役の術師で冥師の名を与えられているのは7名。総数1500万を越す術師の数を考えれば、その希少さを理解して頂けるだろうか。
 歴代冥師最年少記録は15歳。もし僕が今回、試験に合格すれば歴代2位の若さでの冥師襲名となる。自分で言うのもなんだが、これでも多少注目を集めていたりするのだ。
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