■短編
□ヘタレ獣人*凄腕ハンター
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「正確には、元・術師だよ」
男の顔にぶわっと汗が滲み出た。食いしばった口元から尖った牙が見える。
獣人、と言っても色々だ。
この若い獣人の様に耳やしっぽを隠せば人とほとんど容姿の変わらない者もいれば、全身が体毛に覆われ顔つきも人とは全く違うそれを持つ者もいる。
「くそっ!」
「運が悪かったな、小猫ちゃん」
その言葉に気分を害したのか、ギロリと睨みつけてきた。
「小猫ちゃんじゃねぇ!俺は豹だ!」
その時だ。
ぐぅ〜…
なんともマヌケな音が辺りに響いた。途端に男の顔が赤く染まっていく。
「………」
「………」
「……………」
「……………何か言えよ!」
沈黙に耐え切れなくなった男が叫んだ。その姿が何とも滑稽で、俺は思わず吹き出してしまった。
「あははははっ!何だよ、すげぇ音!腹減ってんのか?」
「ああそうだよ!減ってんだよ!生理現象だ!悪いかよッ!」
真っ赤になって叫ぶ男に更に笑いが止まらなくなる。