■Novel(ファンタジー)

□正反対
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『正反対』



 私の周囲が光を帯びた風に包まれ、弾けた。途端に、幾筋もの輝く矢が敵目掛けて飛んでいく。それが射るのは敵、だけのはずだった。

「こぉんのクソ野郎ども!!どこ狙ってやがる!!!」

 前方から飛んでくる怒声。それに舌打ちをし、第二波を放つ。今度は少し遠くの敵を目掛けて放った。戦場の後方から指揮を執る軍師や大将のいると思われるエリアだ。魔法弾が届く前に向こうからも同様の光が放たれ、互いの魔法がぶつかり、爆発が起こった。
 砲弾をぶつける事で我らの攻撃を無効化するつもりだったらしいが、タイミングを少し外していた。その証拠に、敵陣にはそれなりのダメージがあったようだ。退却の合図であるのろしがあがった。

「ふん、口ほどにもないな。深追いはするな。我らも一度引き、体勢を整える」

 部下にそう告げ、私は踵を返した。その時、後方から私を呼び止める者がいた。

「オイ、こら待てよ」

 その声に、眉をひそめた。ワザとらしくため息をつき、振り返る。すぐ後ろに一人の人物が立っていた。褐色の肌に赤髪、右頬に入れ墨を持つ長身の男だ。

「後方支援とか言って、俺らに怪我人を出してどうすんだ!こっちは命かけて前線で戦ってんだぞ!!」
「命をかけて戦場に出ているのは我らも同じだ。自分たちだけだと勘違いされては困る」

 私の言葉に、男の表情はさらに険しくなった。
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