〜 2 1 5 号 車
□AZEL〜第4部
1ページ/18ページ
―――――
――――
―――
――
―
「何だ、その女は」
無事、アジトの場所も隠せたところで、アルドたちがアジトに帰還したが、見覚えのない人を見つけたヘラルドが言った。
「ベッケラー軍、脱獄者」
「はぁ?」
「はじめまして、エーテと申します」
エーテと名乗った女は、お辞儀をして言った。
どうやら、先程リオが先に姿を消した後に話し掛けて来たらしい。
(ふーむ、スタイルよろしい)
すぱこーん!!
ラギが鼻の下をのばし、デレデレしていると、エルノアが履いていた靴でラギの後頭部を薙ぎ払った。
「いでッ何すんだよー!!」
「鼻の下のばして、デレデレしてんな!!」
「……。スパイじゃないだろうなぁ?こんなあっさり連れてきやがって…」
ヘラルドはラギとエルノアのやりとりをスルーして、眉を片方あげ、言った。
「そっそんなつもりは……」
「だったら、その隠し持っている物を出してもらおうか」
ヘラルドの言葉に、その場の空気が一気に凍り付いた。
ヘラルドから殺気が出ているのが判る。
メンバーの呼吸音だけがうっすら聞こえるだけ。
緊迫した空気が更に倍増した。
「俺を甘く見るなッ!!」
ヘラルドが後ろに飛ぶと同時に7〜8センチの小さな刃物をエーテに向かって放った。
エーテが懐に入れていた物の一部を取って、ヘラルドに投げ付けた……が、ヘラルドはその場を離れる。
「どいつもこいつも騙されやがって!おまけにアジトの場所まで丁寧に教えやがって…!俺らがしてきた事、全てが水の泡だぞ!!」
「ふ…さすがですね。ヘラルドさん…。…最初から嘘です!!」
エーテがそう言うと、先程ヘラルドに投げ付けた物が爆発した。
その騒ぎを聞き付けて、野次馬たちが集まってきたが、ヘラルドはそれを気にせず続けた。
「手榴弾か……」
良い形のした鼻をフン、と鳴らすとゆっくりと歩き始めた。
「エルノア!こっちに来い!!」
ラギがエルノアを自分側へと抱き寄せた。
…しかし、エルノアは既に脱力している。
(ち…遅かったか…)
ラギがエルノアにそんな配慮をしている間に鈍い音が耳に入った。