本
□騙し騙し
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ころころと表情を変える彼女は見ていて飽きない。
「エイブリー、ご飯いこ」
「そうだな」
微笑んで手を差し出せば一瞬目を見開き驚いた顔を見せる。
それもすぐ笑顔に変わり、俺の手をとる。
「エイブリーって、優しいよね」
「そうか?」
「うん。だってこの間レイブンクローの子を助けてあげてた。他にも荷物もってあげたり…女の子だけじゃなくて男の子にも!」
「見てたのか…なんか恥ずかしいな」
指を折りながらあった出来事を話し最後には俺を見上げ笑う。
本当に無邪気な笑顔。
「ふふ、たまたまだよ!」
俺が誰にでも優しくするのは、何かあったときのため。
言い印象を与えておけば色々便利だし有利だ。
そんな俺の考えも知らず彼女は俺を優しいという。
無邪気の根源は無知
彼女は無知だ。
俺の裏を知らない。
(ずーっと見てたから、なんて言えるわけないじゃない)(私いつでもあなたのこと、見てるんだよ?)