デュラララ

□独占欲
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首筋に痛みがはしった。
目の前にはナイフを持って私に跨がってる恋人。


「痛い?」


痛いに決まってるでしょ。ナイフで切られているんだから。
そんな文句を言ってやりたいけど、今口を開いたら文句どころかうめき声しか出そうにない。

私が唇を噛んで、痛みに堪えていると目の前の男は、つまらなそうに私を見る。
首筋の傷に触れられる。
爪を立てられて、自然と涙が出てくる。
私が痛みに顔を歪めると満足そうに、綺麗な顔で笑った。


「綺麗だね。肌が白いから赤が映えてる」


思い切り睨みつけてやると、楽しそうにくすくすと笑った。
殴ってやりたい。でも、両手は頭上で縛られていて叶わない。


「まだまだ元気だね。真心」


顔が近づいてきて、一瞬唇が触れ合った。


「っ!!」


傷にぬるりとした感触。
傷から痛みと、熱が集まるのを感じる。
舌を這わせて流れる血を舐める。


「ぃ、ざや」

「なんだい?」


臨也は顔を上げて微笑む。
唇には私の血が付いていて、吸血鬼みたいだ。
少し考えていると、臨也から笑顔が消える。


「何考えてたの?」

「え?…っぁ」

「ね、真心?答えてよ」


乾いた音が部屋に響いた。
私の頭は一瞬真っ白になって、何が起きたか分からなかった。
叩かれた、って分かると目の前が歪んだ。
涙が流れないようにしてても、耐え切れず流れた。


「真心。駄目だよ?俺が今居るのに、俺以外のことを考えたら。俺だけ考えて。俺だけを感じて。真心は俺のなんだから」


臨也の声は優しかった。それがまた恐かった。







「愛してるよ」




私も愛してたよ。




 

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