デュラララ

□loveless
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朝起きたら、隣にいたはずの彼女がいなかった。

また、何も言わずに帰ったのか、と思って布団を出ると台所から音がしたので覗いてみると、
彼女が何故か朝ご飯を作っていた。



「何してんだ?」


「あ、おはよう」


目を細めて優しく笑う。

長い髪で隠れているが、隙間からのぞく赤い跡につい、目がいく。
肌が白いから余計目立つ。


「座ったら?」


テーブルまで料理を運んで座る。
用意されたのは一人分の朝ご飯だった。


「お前は?」


「私はいらないから」


こいつの料理なんて初めて食べたな。

料理できたのか。


「今日仕事は?」


「休み」


そう言って俺が食べ終わるのを待っている。


「ごちそうさん。うまかった」


「よかった」


嬉しそうに微笑む。
皿をかたずけて、鞄をとる。


「私、帰るね」


どこに、なんて聞かなくてもわかってる。
あいつのところに帰るんだ。
昔から、真心の帰る場所は臨也のやつのところだ。

俺の考えがわかってるのか真心は困ったように笑う。


「ごめんね」


いつもこいつは謝るんだ。
俺が自分のことが好きだと知っているから。

真心が俺を好きになることはない。
それでも夜を共に過ごす。


「静雄、痛い」


真心の手首を強く掴んでいた。
痛々しい跡が残っているのに真心は怒りもしない。


「悪い」


「大丈夫」


「じゃあな」


「ねぇ、静雄」


「本気で私が欲しいなら、力ずくで奪って」


いつもと変わらない笑顔で笑う。
奪ってほしいのか。臨也から。

俺が悩んでいる間に真心はいなくなっていた。










本気で私を求めてよ。



 

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