デュラララ

□水没
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夏の太陽の日差しは痛いくらい体を焼く。
夏服なんて、その日差しから全然守ってくれない。

汗で体はべたついて気持ち悪い。
早く帰って、シャワーでさっぱりしたいと思っている人が大半だと思う。

実際私もその一人だし。


「ねぇ、いつまでそうしてるつもり?」


明らかにめんどくさそうで、暑さに苛立っている声が私を呼ぶ。


「私の気がすむまで?」


風が吹いて水面が揺れる。
揺れに合わせて私の体も流れる。

今はまだ授業中なのに、私は学校のプールにいる。
体育の時間じゃない。多分教室では数学の授業をしていると思う。

制服のままプールに入り、水面に浮かんで漂っている。


「暑いのによくそんなことしてられるよね」


暑いなら冷房のついている教室にいればいいのに、なんて言ったら睨まれそうなので黙っておく。
それに、臨也は日陰にいるから太陽の下にいる私より暑くないと思う。


「暑いけど、気持ちいいよ」


空は雲一つない快晴。
心地よく風も吹いていて、教室にいるなんてもったいない。


「肌焼けるよ」


「いいよ、そのぐらい」


「俺は真心は白い方がいいと思うけど」


「そっかぁ」


臨也の意見なんてどうでもいいけど、焼けると痛いから焼けない方がいいに決まってる。


「雨、降らないかな」


「なんで?」


「なんとなく」


「降らないでしょ、こんなに晴れてたら」


体を起こして立つ。水にぬれた髪が顔に張り付いてうっとうしい。

臨也の方を見ると、日陰から出てきてくれてプールサイドにしゃがむ。


「気がすんだ?」


呆れたように私に問いかける。
私は臨也の方に近づいて微笑む。


「少しね」


臨也は腰をおろし、制服も気にせずに水に足をつける。



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