デュラララ

□生かす
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池袋の某カラオケ店。
室内には気を失ってる女が二人、手元の携帯に目を落としてる女が一人。
そんな女を興味深く見ている男が一人いた。


「あの」

「なんだい?」

「この人達どうするんですか」

「後で運ぶから気にしなくていいよ」


そうですか、と言って再び携帯を扱う。

男はそれが気に入らないのか、彼女の携帯を奪う。


「あっ」


取り返そうと身を乗り出して手を伸ばす。



「返してください!」


男が軽く避けるのでムキになって追う。


「君はさぁ」


「なんですか!」


「何で飲み物飲まなかったの?」


ピタリと彼女の動きが止まる。
イスに座り直し男を見る。
同じように男も向き合って座る。


「あなたから渡されたものなんて飲めません」


「へぇ?」


「だってあなたは折原臨也さんでしょう」


疑問形じゃなく確信を持った言い方だった。


「知ってたんだ」


隠すこともせず笑いながら言う。


「有名人ですから」


そっか、と言って彼女に携帯を返す。


「君は何も言わないんだねぇ七瀬真心 さん」


真心はため息を一つつき臨也を見る。
おそらく何か言うまで帰してくれないのだろうと思った。


「何も、ってあなたが騙してたことですか」


「まぁそうかな」


真心は臨也から視線を外し話はじめる。


「興味ないですから。あなたが誰で、何を目的にここに居ようと」


「私は自殺をしに来たんではなく話を聞きに来たに過ぎませんし」


「自殺しないんだ?
話聞きに来ただけって何で?」


面倒そうに臨也を見るが、臨也からは興味がなくならない。

「自殺はします。ただ、集団自殺なんて御免です。
聞きたかった話は、他の人はどんな理由で自殺をするのか気になったからです」


淡々と話す姿が面白くて 笑ってしまう。


「面白いね、君は」



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