VitaminX-Z
□僕にしときなよ
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「また、泣いてるの?」
「や、くも」
「ばかだねぇ」
「っるさ、い」
とめどなく溢れてくる涙を拭ってあげると、眉を寄せて唇を噛んだ。
「もう何回目?いい加減さ、別れたら?」
「そんな、かんたん、に、言うなっ」
だって嫌なんだ。君があんな男に傷つけられて、泣くなんて。でも、いくら傷つけられても、別れるなんて言わないから。
僕なら絶対に…
「名前を傷つけたりしないのに…」
「僕なら君を守るのにっ」
「っや、」
「ねぇ、僕にしときなよ。僕のものになってよ…」
細い身体を抱きしめると、震える腕が背にしがみついた。
ごめん、と微かに耳に届いた。