VitaminX-Z

□For You
1ページ/1ページ




「慧?」

「な、なんだ」

「いや、ずっと見てるから」

「っ…すまない」


慧はいつもと違って少し挙動不審で、そわそわしてる。


「どうしたの?」

「…いや、何もない」


そういえば朝から慧は変だった。
何か言いたげにこっちをよく見てた。
那智に聞いても、適当にはぐらかされるだけで何も教えてくれない。

放課後、慧の家に寄るとやっぱり慧はそわそわしてて、何か言いたげに私を見た。


「名前」

「ん?」

「今日、は…………何でもない」

「慧!はっきり言ってよ。気になる」

「いや、いいんだ」

「慧!」

「いいと言っている!」


いきなり怒鳴られて、ビクッと揺れた。


「…すまない」

「ごめんね」

「名前のせいでは…」

「せっかくの誕生日なのに」

「は?」

「え?」


慧は言葉の理解出来てないみたいだ。


「誕生日、覚えていたのか?」

「恋人の誕生日ぐらい覚えてるよ!」

「しかし、お前は何も…」


私は帰る前に渡す予定だったプレゼントを鞄から出して渡した。


「誕生日おめでとう!」

「あ、ありがとう」


本当は朝会ってすぐにプレゼント渡したかったけど、目の前で開けられるのは恥ずかしいし。
二人のときに言いたかったから。
逆に慧は不安だったみたいだけど。


「これからもよろしくお願いします」

「…」

「…っ、ん」


一瞬唇が重なって、抱きしめられる。


「お前が、傍にいてくれることが、僕にとって一番のプレゼントだ」


耳まで真っ赤になった慧は可愛くて、でも私も負けないくらい赤くなってると思う。























(まったく、家の中でイチャつかないでほしいよ)

 

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ