VitaminX-Z

□素直じゃない貴方に
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素直じゃないのは昔から。
ただ照れてるだけだって、知ってるよ。




「…慧?」

「やっと起きたか。まったく、お前は寝てばかりだな」


本を片手に呆れた顔で慧は座っていた。


「待っててくれたの?」

「ち、違う!ただ、生徒会でたまたま遅くなって、そしたらお前が寝ていたんだっ!待っていた訳じゃない!」


顔を真っ赤にして必死に否定する慧は、那智と違って可愛い。
何で双子であんなに違うかな。


「そっかぁ。違うのかぁ」

「そ、そうだ」


慧は持っていた本を閉じて鞄を持つ。


「帰るぞ!」

「うん」


私が笑ってると、照れてるのか顔を逸らす。
慧の様子を伺いながら、手を近づける。
手と手が触れた瞬間、勢いよく慧が振り向いたから驚いて、手を引っ込めてしまった。


「な、なんだっ」

「えっ!?」


また、顔を赤くして聞いてくるから、私まで照れてしまう。
沈黙が気まずくて、言葉を探すけど、上手くでてこない。


「あの」

「なんだ?」

「手を、繋いでいいですか…?」


凄く恥ずかしくて熱い。
慧は何も言わずに背を向けて歩き出してしまった。

何であんなこと言ったんだろ。
顔を触ると熱くて、手が冷たくて気持ちいい。

慧が歩いて行った後を追うと、慧が少し俯いて戻ってくる。


「慧?」

「遅い!」

「あ、ごめん」

「…行くぞ」


慧は私の手をとる。耳まで赤くなっていた。
ギュウッと握られた手は少し痛いくらいだったけど、凄く嬉しくて自然と笑みがこぼれた。


















きっかけは私から。
でも最後はちゃんとあなたが、動いてくれる。


 

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