VitaminX-Z

□一輪
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「俺がなんで名前ちゃんに興味を持ったかわかる?」


「…わかんない」


真剣な眼差しで見てくるから、私は嶺の目が見れずに目をそらした。


「視線だよ」


「視線…?」


意味わかんない。
私のそんな気持ちなんて関係ないように嶺は話続ける。


「なんかさぁ、好意の視線なんかじゃなくて、怒ってるっていうかそんな視線を感じたわけ。
そしたら君がいつもそんな視線を向けてた」


思い出したのか、楽しそうに話している。

それと、別にそんな見てなかったとおもうけどな私。


「いつも見てるから笑いかけたら、顔真っ赤にしてすごい勢いで目、そらすんだよね」


確かにあった。
たまたま目に入ったから見てたら、目が合っちゃってそらしたことが。



でも顔、赤かった?


「そしたらさぁ、分かったんだよね。視線の意味」


私が首を傾げていると嶺が私を腕の中に閉じ込めた。


「ちょっ!なに!?」


嶺は私の耳元に口を寄せる。息がくすぐったい。


「名前ちゃんって俺のこと好きだよね」


一瞬思考が停止した。

何言ってんの?私が嶺のことが好きなわけないじゃん。
それになんで疑問形じゃなくて決定事項なんだ。

でもそれを口に出すことができずにいた。

嶺は私に体を少し離して、顔を覗き込む。


「ンふっ、図星でしょ」


勝ち誇ったような顔をされた。ものすごく悔しい。

顔が熱い。なぜか視界が歪んでくる。
嶺は私の瞼に唇を落とす。



心臓がうるさい。


だって、その通りだから。
だから、言い返せなかった。私はいつも嶺を見てたんだ。

嫉妬してたあの女の子達に。いつもそばにいるあの子たちに。


「好きです…」


蚊の鳴くような声しか出なかった。
嶺は優しく笑っていてそれがまた、私の胸を締め付けた。


「俺は愛してるよ。名前」




私の胸の奥にあった気持ちは彼にはお見通しだったみたいだ。



















(いつから気付いてたの?)(わかりやすかったよ。話しかけるたびに顔赤くするしね)

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