VitaminX-Z
□ねぇ先生?
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「愛とはなんですか?」
「は?」
間抜けな声が静かな教室にやけに響いた気がした。
目の前で答えを待ってるのか聞いた本人は、手の動きを止めてこっちを見てる。
「私の愛は重たいのです」
何も言わない俺に何を思ったのか話を始める。
今補習中だぞ。
「千聖とアラタに言われたんです」
「おい」
「よく、わからないんですけどね」
「苗字!」
はい、と返事をした苗字は何事もなかったかのように黙る。
呼んだのはいいが何を言えばいいんだ。
こういう時こそ天童さんがいればな。
「加賀見先生」
「なんだよ?」
考え込んで頭を抱えていた俺は勢いよく苗字を見る。
唇に柔らかい感触がした。
何だ?なにがあたった?。
答えはすぐわかった。
鼻先が触れるほど近くにいるのは苗字だ。
キスされた。
呆然としている俺に向かって苗字は綺麗に微笑んで、
「私の愛、受け止めてくれますか?」
(好きですよ)(止めてくれ!)