VitaminX-Z

□長い放課後
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「わけわかんない」


今大量のプリントを目の前にうなだれてる私は、classZの一人で、現在補習真っ只中だ。


「さっさとしろよ苗字」


「ほーじょー」


何故か私の補習を担当してるのはP2の方丈那智だ。


「なんであんたなのよぅ」


「B6の先生とか真奈美ちゃんがよかった」


顔を机にのせて文句を言っていると。


「うるせぇよ」


声色が変わった。
今顔を上げたら駄目だ。
だけど今見ないともっと駄目な気がする。

そっと顔を上げると方丈が黒い笑顔を浮かべこっちを見ていた。


「俺だってお前みたいな馬鹿の相手なんて御免なんだよ」


「なのになんだよ?その態度」


この男は表と裏が激しすぎると思う。
もうちょっとお兄ちゃんの純粋さを見習うべきだと思う。


「聞いてんの〜?」


そう言って私の頬を摘む。


「いひゃい!」


離してくれた。
痛かった、ひりひりする。


「早くしろよ」


もう痛いのはごめんなので大人しくプリントに取り掛かった。
方丈は、私の手元を覗き込んでる。


1問目、中学生レベルの数学。


「方丈」


「なんだよ」


「わかんない」


「どれ」


これ、と言ってシャーペンの先で1問目を指す。


「…お前、やる気あんのか」


「一応」


方丈は、深いため息をついた。
でも本当にわかんないし。
これでもA4よりは成績上位だ。


「これは…」


なんだかんだ教えてくれるんだ。


何回も説明してもらってやっと理解した。
応用問題をしたらまちがえた。


「お前な」


「ごめんなさい」


だって凄い難しくなった。


「次間違えたら罰ゲームだから」


「はぁ!?」


当たり前だろ、と悪い笑顔で笑ってる。
こわっ!

私は、必死で解いた。
本当に必死で!今まででないくらい。


「はい、ざんね〜ん」


ありえない、自信あったのに。


「公式から間違ってんだよ」


まじか。


「どうしよっかなぁ、何してもらおうかなぁ」




絶対嫌だ、こいつなら何を言い出してもおかしくない。
私の人生はここまでなんだ。

黒い笑顔じゃなく、本当に楽しそうに笑ってる方丈がムカつく。


「目、つぶってよ」


大人しく目をつぶる。

ちゅっ


そっと目を開けると、にこにこ笑ってる方丈が目の前にいた。


「な、に」


何だ今の、唇に、柔らかい、キス? いやいや、違うでしょ。


「方丈、今、なにした?」


「何って、キス」


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