Johnny's

□光一
1ページ/1ページ




家に帰ると、甘い匂いが広がっていた。
思わず眉をしかめて立ち止まっっているとパンが出迎えてくれた。


「ただいま、パン。なぁ、何なん?この匂い」


パンに聞いても答えが返ってくるわけはなく、キスをしてリビングまで行く。


「おかえり、光一」


美羽が笑顔で迎えてくれて、なんか幸せやな〜とか柄にもなく思ってしまった。


「ただいま。何してんの?」

「チョコ作ってる」


見りゃわかる。
何でチョコ作ってんのか、っていうことやねんけど。


「バレンタインじゃん」


そういう行事に疎い俺は全然気づいてなかった。
今思えばスタッフとかチョコであろう物を持っていた気がする。


「俺甘いのあんま好きちゃうで」
「知ってる。これは、光一にじゃなくて共演者さんたちに」
「俺のは?」


甘いのは好きじゃないが、貰えないのはなんだか嫌だ。
しかも他の奴になんでわざわざ手作りやねん。


「欲しい?」
「べつにー」


素直じゃないね、美羽が笑って俺から視線を外す。
台所に入って後ろから覗き込む。もうほとんど完成していて、あと飾り付けぐらいだった。
チョコをひとつ摘んで口に入れる。


「あっまー」
「ちょっと、なに」


美羽が迷惑そうに振り向く。
腕を掴んで引き寄せて、唇を重ねた。
自分の中にあったチョコのかけらを美羽に移す。


「甘い」
「もういらんの?」
「いらないっ」


顔を赤くした美羽は俺を押して、台所からでていく。
後を追って後ろから抱きしめる。


「俺はもっと欲しいねんけど」











あまーいバレンタイン?




 

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ