長い夢
□君は誰?
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私が出された条件は3つよね。
・送迎をちゃんとする。
・正体は隠す。
・ぶりっ子しない。
私、瀬口真白はこのちょっと曖昧な採用条件(というか、強引に採用させられたんだけど)を頭のなかで反芻しているところ。
それにしても大雑把だなぁ。
まぁ本来の目的をわすれるな、というところでしょう。
基本的にさばさばした性格なんで、色々心配なことはございません。
ただ、愛車のオープンカーを差し置いて、送迎用の頑丈な車を使わなきゃいけないのは心苦しいかな……
ま、とりあえず初対面の嵐面々に怪しまれないように、気を引き締めよう……
あ、そうだ。
これからは正体がばれないように、
「町田柊」
としてやっていかなきゃいけないみたい。
なんか、アニメのキャラクターみたいな名前……
お偉いさんにそう指定されたので仕方ないけど。
「マネージャーさん」に「楽屋」なるところのドアの前に立たされる。
あ、芸能界って本当にあるんだ。
まだ新人脚本家なので、そういう実感はあんまり無い。
いや、前のドラマも脚本家としての大きな前進だったんだけどね。
がちゃ。
思案している私をよそに、ドアが開く。
目に入ったのは、今をときめく国民的スター、アノ5人!