短編


□振り向いて
3ページ/4ページ

そしてバレンタイン当日――

リクオは朝っぱらからつららと一緒に雑用をしていたが
朝からたくさんの女子にチョコをもらっていた

つららはそれをジト目で見ていた

しかし次の瞬間つららは目を丸くした

それはリクオが貰うのを断っていたからである

(リクオ様・・・?どうして貰わないのですか?)

つららはずっと心の中で思っていた

つららはそれからというもの放課後までずっとリクオを見ていたがリクオは一個もチョコを貰っていない

そして、ある人物がリクオに近づいていく

そう、その人物とはつららが一番気になっていた人物家長カナ≠セった

(やっぱり、家長もリクオ様に渡すのね・・・)

つららは二人を見ているうちに胸が苦しくなっていた

(どうしよう・・・このままじゃ・・・)

そしてつららはあることをふと思った


どうしてリクオ様は他の女子からチョコを貰わなかったの?

それは、幼馴染である家長≠セけから貰うつもりだったから・・・?

つまりそれは、リクオ様が家長の事・・・・好きだから・・・・?


つららは、そう思うと二人を見ていられなくなり屋上へと向かった

屋上へ向かっているつららの顔からはまた小さい水晶球がポロポロと落ちていたのである

(やっぱり!!リクオ様はっ!!)

そう思った瞬間脳裏に蘇ったのは毛倡妓の言葉だった


リクオ様はアンタのことが好きよっ!?


(毛倡妓は嘘つきじゃないっ!!)

水晶球の量が多くなる

「私なんかっ!!やっぱりっ!!!・・・ひっく・・・」

いつの間にかつららは屋上で泣いていた

しかし、そこに

バンッ――

つららが開いた扉の方を見ると

「りくお・・・さま・・・?」

そうリクオだった

つららは、すぐに涙を拭く

「リクオ様どうしてここに・・・・」

リクオは何も言わずつららのほうへ足を進める

「リクオさま・・・?」

そしてリクオは

「つらら、ごめんね。つららの気持ち知らなくて」

リクオはゆっくりつららを抱く

「ど、どうされたのですか!?リクオ様!」

「僕はずっとつららの事だけが好きだったんだよ?」

つららはその言葉に目に涙が浮かぶ

「うそは、いりませんよ・・・?りくお・・様・・・」

泣きながら話すつらら

「嘘なんかじゃないよ?つらら。僕はいつだってつららのことが好きだったんだ。だから」

「だから・・・?」

「頂戴?」

「何をです・・・?」

「今日僕一個も貰ってないんだ」

つららは、それがチョコだということに気づく

「でも、さっき!家長からっ!――」

「断わったよ?僕好きな人からしか貰わない主義だから」

「リクオ様の、ばか///」

つららは、恥ずかしそうにバッグの中からチョコを取りだす

「はい、リクオ様」

「ありがとう、つらら。これって義理?」

いたずらにリクオが聞く

「本命にきまってますっ!!」

「なら、食べさせてよ?」

つららの顔は赤くなる

「分かりました、リクオ様。はい、あーん」

つららは恥ずかしがりながらも食べさせてあげようとしたら

「っ!リクオ様?」

つららは地面に押し倒された

「このままつららごと食べるね」

リクオの口が弧を描くように笑う

「リクオ様っ!!んっ!」

リクオはつららにかみつくようにキスを何度もする

そして二人の間に銀色の糸ができていた

「ずっと愛しています、リクオ様」

「僕も、一生つららの事を愛してる」


やっと君・貴方が振り向いてくれた時だった


次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ