長編
□焦らずに
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次の日の朝――
女の朝は早い。
つららは朝6時に起きた。
そして台所に向かうわけだが、途中で毛倡妓と会った。
「おはよう、毛倡妓」
「おはよう、つら――」
毛倡妓は、最後の一文字を言おうとしたが目を丸くした。
「つらら、昨日は大胆なことでもやったの?」
とニヤニヤしながらつららに問う
「へっ!?大胆って何よ?」
毛倡妓は心で(そこからっ!?)と思ったが
「いやいや、気づいてないなら別にいいわ。早く台所に行きましょう。若菜様が待ってるわ」
「立ち話もなんなら台所でやりましょうか?」
「もう、いいのよ。その話終わり。」
と毛倡妓が言うとつららは、少し拗ねたようにして先に行く。
(若からのキスマークって気づいてないのかしら?)
クスクスと笑いながらも台所へと急ぐ毛倡妓だった。