短編


□俺だけのモノ
1ページ/3ページ

学校が終わる合図のチャイムが鳴り響く

「お迎えに行かないと!」

リクオの側近であるつららが言う。

*

「それじゃまたねー」

「ばいばい。奴良君!」

リクオが皆にさよならを言い終わると

「リークーオーさまぁー!!」

「つらら!」

「今日は、お買い物をしなくてはいけませんがいいですか?」

「買い物なら全然いいよ」

「それでは行きましょー!」

その会話を聞いていたリクオの幼馴染であるカナがいた

(普通の買い物だよね?ってかなんで及川さんが一緒にいるの!?)

と疑問を次々に思い始め、ついに――

(よし!付いていこう!)

カナはリクオとつららの関係を探るべく尾行し始めた。

*

リクオ達は買い物が終わり店を出た

「なんで、家長はずっとストーカーしてんですか!?」

「つらら、ストーカーはやめてあげなよ。」

「むぅ・・・・・」

そのとき寒い風が吹いてきた

「さむっ!!!」

「リクオ様!大丈夫ですか?」

「ぁあ、うん。大丈夫」

思えば季節は冬となり日が暮れていた
辺りは、真っ暗ではないが相当暗かった。

「組の者には悪いけど、化猫屋に行こう」

「いいのですか!?」

「んー、いいんじゃない?」

「カラス天狗に怒られても知りませんからね!」

と笑う2人だった。

「つらら、その角を曲がったら変化ね」

「へ?リクオ様?」

「いいから」

「ぁ、はい」

ドロン―――

リクオとつららは変化し妖怪の姿になった。

(あれ?リクオ君達どこに行った?)

と思うカナだった。とりあえずカナはリクオ達が曲がったと思う角で曲がった。
曲がった瞬間あの方が現れた。側近と思われる女性と共に――

「よう、カナちゃん。こんなとこにいたらまた妖怪に喰われるぜ?」

「あ、貴方はっ!!」

「わぁーかぁー 化猫屋に行くんじゃ――」

側近の女性があの方に話しかける

「若っ!家長じゃないですかっ!!」

「いいから、見よけ」

コソコソ話だったために聞こえなかった。
そしてあの方が此方を向く

「早く帰ったほうがいいぜ?」

カナは、もっと知りたいと思ったのか

「嫌です!!ついていってもいいですか!?」

驚きの回答にリクオとつららは顔を見合わせた。
リクオは、つららに「良いか?」と言ったが
つららはすねてるのか「どうぞご自由に」と尖った口調で言い放った
リクオは機嫌を直してくれと頼むがつららはまだ口を尖らせている

「すまないけど、今回は駄目だ」

「どうしてでも!?」

「そうだ。」

リクオは簡潔にきっぱりと言う
カナは落ち込んだようにしてリクオ達に背を向け帰って行った。

「これでいいんだろう?つらら」

「・・・・・・・・・・・はぃ」

「頼むから機嫌を直してくれよ」

と言うと、リクオはつららを抱き締め素早くつららを唇を奪った

「ん・・・んん・・・・・」

「お仕置きだぞ?つらら」

「大胆すぎます///」

つららは白い頬を真っ赤に染めリクオは

「可愛いじゃねぇか。ま、いつもの事か」

「からかわないで下さいよぉ!」

悪戯っぽく言うリクオに、今にも涙が出そうなつららだった。

「続きやるか」

「化猫屋は?」

「また今度だ」

「カラスに怒られないですみますね!」

「だといいんだがな」

つららは、リクオが最初に発した言葉の意味が分かっておらずうきうきとした表情で帰って行った。
その表情にリクオは、頼むから気づいてくれよと心の奥で想っていた。


次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ