短編


□誓い
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奴良組本家の縁側には、三代目奴良リクオとその側近つららの姿があった。
満月が出ておりリクオは夜の白銀の髪をなびかせていた。

「月、綺麗ですね」

「あぁそうだな。酌してくれるか?」

「いいのですか?明日学校ですよ」

「いいんだよ。俺じゃないからな」

と、リクオは笑う

「でも、リクオ様の体は一つしかございません。昼のリクオ様のことをたまには考えてくださいね?」

「あぁ。分かってるよ」

「それでは、お酒持ってきますね」

「頼む。」

つららが立つと漆黒の色をした髪が艶やかに満月で照らされる

(こいつ、こんな綺麗な髪だったんだな)

リクオはつららに惚れ直す


一方つららは酒が見つからずずっと探していた

「あれ〜おかしいな・・・まだ切れてないはずだったのに・・・もうなくなったのかな?」

そう言いながらも探し続ける。
すると

ガシャガシャガシャン!!

「うわあぁ!」

洗い物を干していた山ずみのが崩れてきたのである

「あららぁ・・・・これ一人で片付けるしかなさそうね・・・」

そして体勢を整えようとした時

「痛っ!!」

皿が一枚割れていたのである。その破片がつららの足に掠り傷を負わせていた。
そんなに深くはないが、血がしみていた。

「やだっ!リクオ様に心配かけたら――」

「俺に何を心配されるんだ?」

後ろを向くとそこにはリクオが立っていた

「リクオ様!どうしてここに?」

「は?あんな大きい物音が台所からすれば誰でも来るさ」

「あはは・・・そうですよね」

つららはリクオにバレないように怪我した足を見られないように隠す

「つらら」

「はい?」

「皿割れてるじゃねえか」

「は!!ごめんなさい!本当にごめんな――」

つららが最後まで言おうとした瞬間


「お前、怪我してるだろ?」

いきなりの言葉につららは驚く

「へ!?な、なななんのことでしょうか?あははは・・・」

「何焦って誤魔化してんだよ」

「誤魔化すなどとんでもない!!」

「じゃぁその足なんだよ」

リクオが指差したその先は先ほどつららが怪我をした部分であった。

「あぁ!これはこれでーえっとーそのー・・・」

「素直じゃないなお前は」

「ぁ、あの本当に申し訳ございません!!若! 痛っ!」

「もう謝るのはいいから、頭上げろ」

「いぇ!そんなことは――ひゃあぁん!」

つららの傷口をリクオが舐め始めたのである

「りくおさまぁ!んっ!そんなところをなめたらっ!ひゃああん!汚いです!!」

それでも舐め続ける。

「りくお、さま!!もぅっ・・やめてぇっ!」

つららにとってはもう溶けそうだった。
そしてリクオは舐めるのをやめた
一安心したつららだったが

「んんっ!!」

今度は口を塞がれたのである。
そして何度も何度も口付けを交わす。
やっとつららの口が解放された時は銀色の糸がお互いに繋がっていた。

「つらら、愛してる」

「私も愛しております」

二人はそう誓うとリクオが

「続きは俺の部屋でな?」

「明日は学校なんですよ!!?」

「大丈夫だ。つららが朝起こしてくれるもんな?」

二人はとても幸せそうに部屋へ向かったという


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