長編


□焦らずに
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奴良組当主となり早1年が過ぎた頃だった。
その当主、三代目奴良リクオには悩みがあった。

それは“婚約”の事だった。

始まりは一時間ほど前の事――


「リクオ様!ちょっとよろしいですか?」

声をかけてきたのは烏天狗だった。

「お、なんだ?烏。こんな夜分に」

「総大将がお待ちです。」

「ジジイが?」

「はい。こちらへどうぞ。」

と、烏天狗から連れてこられたのはぬらりひょんの部屋だった。

「失礼します。総大将」

「おぉう、やっと来たか」

「なんだよ、ジジイ。こんな夜分遅くに」

「ま、いいじゃろう。本題に移るぞい。烏天狗」

「は。こちらにあります。」

と総大将が烏天狗を呼び、アルバム的なものをリクオに渡した。

「なんだよ、これ。」

「まぁ、中を見ろ。」

そしてリクオは中身を見る。

「!!!!!!!!なんだよジジイ!!!こんなもん――」

そう、中身は綺麗な妖怪の女だった。

「どうじゃ?そやつと婚約せぬか?」

「はぁ!?冗談じゃねえ!オレには、つららがいるんだぞ!?」

「はぁー・・・・。んじゃ、その雪女はもう決心はついているのか?」

「!!・・・・だ、だけどよオレはつららがいいんだ。他の奴と―――」

「リクオ様。それなら今雪女をここに呼んできましょうか?」

口を挟んだのは烏天狗だった。

「ったく!相手の気持ちを納得させればいいのだろう?」

「そうじゃ。お前が一方的に好んでも、相手の気持ちがそれに答えなかったらお前はただの――」

「それ以上言うんじゃねえ。オレのことはオレがするんだ。他人が勝手に入ってくるんじゃねえ。」

「ふん。わかったのならさっさと行け。」

と、ぬらりひょんが言うとリクオは部屋から出て行った。

「よろしかったのですか?総大将。あんなに四代目の顔が見たいといっておりましたが・・・」

「これでいいんじゃよ。これであやつも少しは焦るだろう?」

「そうですな。」

そして、その後総大将の部屋から笑い声が聞こえたと言う。


時は戻り、現在――

今リクオの隣には、リクオが愛しき人つららがいた。
そんな中リクオはつい溜息をついてしまった。

「どうされました?リクオ様」

「ぁ、なんでもねーよ・・・・ただ」

「ただ?」

「おめーがいつになったらこの気持ちに答えてくれるかなってな」

「なんのことでしょうか?」

つららの頭の周りには?マークが出るぐらいつららの直感は鈍かった。

そしてもう一回溜息をつく

「リクオ様?ほんとに大丈夫ですか?今日はお休みになられたらどうです?」

「ああ。そうだな、そうさせてもらう」

そしてつららが立とうとした瞬間

「ひゃぁっ!!」

リクオは首筋にキスマークを付けて自分の部屋に行ったという


「り、リクオ様!!・・・ったら・・・・」

つららが言うときにはもうリクオはつららの目の前にはいなかったのだ。
でも、自分では嫌と思ってても主にされるとそれは“嫌”ではなかった。
それでもつららはこの気持ちは自分では分かっていなかったのだ。




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