short story

□愛し
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好きな子ほど苛めたくなる。そういうけれど、まだ彼はそれが当てはまるような子供だけれど、これはナイ。
本当に、ナイ。


放課後の靴箱前。靴に突っ込んだ足に、不愉快な感覚がまとわりつく。また-----、か。
靴を脱ぎ、逆さにすると出てきたものは、砂。サラサラと地面に落ちる。まるで、砂時計みたい。そんな、場違いなことを思う。

一昨日は体操服がなくなった。4日前はロッカーからバッタが飛び出した。一週間前は鞄に付けていた熊のキーホルダーが、なぜか首吊り自殺していた。


---------虐めにあっているのか?
だれもがそう思うだろう。だが、違う。委員長兼生徒会役員の、誰もが認める優等生の私が、虐めの的になるようなヘマはしない。私にこんなことをするのは、何時だって、一人しかいないのだ。



「なぜ、学習しない?靴を確かめればいのに」

黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ。
思いつくだけの罵倒や暴言が、私の中をしめる。来るな変態、偽善者ヅラしやがって。ウザイ。鬱陶しいのよ、あんた。私の前から果てろ!失せろ!
----そんな言葉を苦労して、飲み込む。
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