短文お題
□それもひとつの愛し方
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それもひとつの愛し方
抗う腕を縫いつけて、暴れる脚を押さえつけ、そのたおやかな四肢を組み敷いて、それでも心が欲しいのです。
ごめんなさい。こんな愛し方しかできないのです。きっと私は悪い子なのでしょう。
包まれる優しさに慣れていない私にとって、拒絶だけが精一杯の誠意の示し方なのです。
貴方よりも憎み切れない自分が憎く、貴方が死ぬことよりも失う事実が恐ろしい。
もしも私が死んだなら、頭から小指の先まで残さず食べてください。貴方の血となり肉となり、やっとひとつになれるのです。