リクエスト

□カラーバリエ
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広い宮殿の中、白いキャンバスの前に、まだ幼さが残る10歳くらいの小柄な少年が座っていた

金色の髪に小さな王冠をのせ、緑の瞳は手に握りしめた絵筆をじっと見つめていた

イーゼル・アート

全世界を絵画で統治する少年王の名だ

人々はイーゼルの描く絵を称え、彼を絵画王と呼び敬った

王族の中で、アートの血筋だけが代々受け継ぐ不思議な絵の力がある

絵画王が描く絵は真実の未来となる

真夏に雪がふる絵を描けば、日射しが強く雨さえ降りそうにない入道雲が見える暑い日に、ふるはずのない白い小雪が舞い積もった

真実の絵を描く力のため、アート家の出生率は悪く、短命である

イーゼルは最後の絵画王だった

やがて決心したように顔を上げ、白いキャンバスを睨みながら、イーゼルは一枚の絵を描きあげた

美しい街並みに、たくさんの火の粉が飛び散り、苦悶に顔を歪めて走り回る人々

地獄の業火の中で雄叫びを上げる禍々しい巨大なドラゴンに、小柄なドラゴンにまたがった騎士が槍を構えて突進する

女が獣に食い殺された赤ん坊を嘆いて涙する

残酷な未来の絵を

絵画王を敬い、仕える神官は、残酷な絵を見て、あまりの恐怖に言葉を失った

「この絵は今から7年後に起こる未来です。各国の王子達に私を訪ねさせなさい。私は一つだけ王子に質問をします。良い答えであれば、私は死にこの絵は現実とはなりません。悪い答えであれば、王子を殺します。私の言葉を世界に伝えて下さい。より多くの人の耳にはいるように」

神官は恐怖にふるえながら、礼をした

後に絵画王は、狂王として世界に知られるようになる
 

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