Novel1
□Increase for April Fool
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「こらコナタ」
リンドウがコナタを抱き上げる。
「レンがイヤだって言ってるだろ? やめなきゃダメだ」
子供に言って聞かせるように(実際子供だが)リンドウが言うと、コナタは「うー……」と足をばたつかせた。
「なーまー!」
肘をリンドウにぶつけながら叫ぶ。
「俺はリンドウだ」
「りんどー嫌い!」
頬を膨らませて、ぷいとそっぽを向く。そのままリンドウの腕をペシペシと叩き、そしてあることに気が付いた。
「りんどー! うでごはんだ!」
それまで不機嫌だったのが一変して、コナタはリンドウの右腕を興味津々に見つめた。
「ごはんじゃないぞ」
リンドウが苦笑する。そして右腕のみでコナタを抱えて左手で彼女の頭を撫でる。
「なんか親子みたいっすね」
コウタがリンドウとコナタを見て笑った。
「おやこ?」
コナタが首を傾げた。どうやら親子の意味がわからないらしい。
「親子の説明って難しいと思う……」
レインがボソリと呟く。
「アルダさんとあおいの?」
コナタが意味不明なことを口にした。
「あおいのってなんだ? ツクヨミか?」
レンが訊ねるが、コナタはブンブンと首を横に振った。
「アラガミおにちゃん」
その言葉がコナタの口から出た途端、彼女の頭に褐色の手が置かれた。