book

□happy birthday
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―私には…同棲している彼がいます―。


『ねぇ!今日も忙しいの?今日で一週間だよ…?』

「すみません…今日は急ぎ、ロンドンの方へ行かなければならないのです。」

『…わかった。』

彼とは、この人…セバスチャン…
かっこよくて、優しくて…私はセバスチャンが大好き!
…でも彼は、IT会社の社長…


忙しいのはわかってる…
でも…たったそれだけ…?
“忙しいので…”

そんな事はわかってる…

貴方は…淋しくないの?

「明日には…戻ります。」

『いってらっしゃい…』

明日には…
本当ね?
明日は…一緒にいられるのね…?

「すみません…今日もすぐに出なければなりません…。」

なんで?
今日は一緒にいられるって言ったじゃない…
貴方は私といたくないの?

『もう…もういい!』

「っ!!」

『貴方…そればっかりじゃない!忙しい理由も教えてくれない…。』

「……すみません…。」

『私といたくないならはっきりそう言って!』

「…そうじゃありません!ですが…理由は、まだ言えません。」

『……もういいってば…』

「私が帰ってくるまで大人しく待っていなさい」

『ちょっと!そんな勝手な事言わないでよ』

「…いいですね?」

『知らない!』

もう知らないもん!

「…はぁ…では、行ってきます。」

―…ガチャ…

…はっ…?

今…ガチャっていった?

―まさか…

『やっぱり…開かない…』

…どうしよう…

セバスチャンの考えが全くわからない…


『バカセバス…何考えてるのよ…。』

…もう寝てやる!

『……っん…』

気づくと、もう部屋は暗くなっていた…

『げっ!もう11時じゃん!このままセバスが帰ってこなかったら…どうしよう…』

「ここは私の家ですよ…?」

『っ!!』

いつの間にか、セバスチャンは部屋にあるソファーに座っていた…

『いつからいたの?』

「つい30分前ぐらいでしょうか…?」

『……。』

なんで…なんで何も言わないの?
なんでそんなに普通に帰って来たの?

「…こっちを向いてください」

私…ひどいこと言ったんだよ?

怒ってないの…?

「怒ってなどいませんよ?私こそ…貴女に寂しい思いをさせてしまいましたね…彼氏失格ですね…すみません…。」

『っ!』

「貴女の考えていることくらい…わかりますよ?」

セバスチャンにそう言われると、自然と涙が出てきた…

『…どうせ、またすぐに仕事に行っちゃうんでしょう?』

言いたいことはそんな事ではないはずなのに…

「いいえ…明日から一週間は休暇をとりました。」

…へっ?
会社…忙しかったんじゃないの?

『…大丈夫なの?忙しいときに、一週間も休んじゃって…』

「えぇ、必要な仕事はこの一週間で全て終わらせました。」

…だから?
だから、今までずっと忙しかったの?

「…貴女は、明日が何の日か、ご存知ですか?」

明日は…

『…私の誕生日です。』

「その通りです。前に仰っていたじゃありませんか?自分の誕生日に式を挙げたいって…」

…うそ…
覚えてたの…?
ていうか…

「…今まで黙っていて、申し訳ありません…」

…これって…

「もちろん、貴女が嫌だと言うのなら、無理強いはしません。」

『……セバスチャン…』

「ですが…私は、貴女を愛しています。ずっと一緒にいてほしいんです…嫌…ですか?」

『…嫌な訳ないじゃない…私だって、セバスチャンを愛してる!』

―貴方を、一生愛す事を誓います―。

(旅行するなら、一週間は必要でしょう?)
(…そこまで考えてくれたの?)
(当たり前です。私を誰だと思っているんですか?)
(もう…大好き!)
(知っています。)
…End…

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