誰よりも君の幸せを願ってます

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「仁王君、今日はシンデレラを読みましょう」


「この口が俺を馬鹿にしとんのか?ん?」


「ふひはへん」



翌日、中庭で仁王君と絵本を読もうと思ってシンデレラを持ってきたのに、仁王君に片手で両頬をムニュッとされた

なんと…仁王君はシンデレラが嫌いだったか


ドキドキ

こんな時まで私はドキドキしてしまうんだね



「分った。じゃあ明日は塔の上のラプンシェルを持ってくる」


「お前さんはまず絵本から離れんしゃい」


「え?シンデレラが嫌いでやったんじゃないの?」


「誰が中学生にもなって絵本を読みたがる奴が居るんじゃ」


「…時代は怖いな」


「俺は御舟が怖い」



まさか絵本自体が駄目だったなんて…え?ドッキリ?

ごめん、本当みたい。仁王君こっちがんみだもん



「じゃあ何したいの?」


「…」


「仁王君の話聞くよ」


「…じゃあ…」


「?」


「美穂は俺の事どう想っとるんじゃろ」


「…」


「俺は美穂が好いとぅ…だが、それは俺だけだったんか」


「知らない。私狭山さんじゃないし」


「おい」



だけど本当の事だし

私が狭山さんだったら今ここで言ってあげられる……あぁ…そうか、そうだった



「…好きだよ」


「っ」


「私は仁王君の事が好き…それはいつまでも変わらない想いだから」


「…御舟…?」


「……とか、想ってると思うよ。これ女の感」



ちょっと自分の気持ち入れちゃった

第三者から見ればこれはれっきとした告白…これで私の気持ちも少し晴れた気がする

やっぱり想いって伝えた方がすっきりするよね。私はもうすっきりした。これで2人の寄り戻しに専念できる



「…」


「だからさ…怖がらずに狭山さんと向き合いなよ…うん」


「…」


「昨日あんな事言っちゃったけど…今ならきっと狭山さん」


「そんなに俺を美穂の所に行かせたいんか?」


「えっ」


「お前さんは俺と居てくれるんじゃろ?俺の話聞いてくれるんじゃろ?…なのにそんなに急いで俺と美穂を仲直りさせたいんか?」



何言っているんだ?この人は

だって…最初からそういう目的で私と居るんでしょ?


自分の暗くなった心を元気にして、狭山さんと寄り戻せてめでたしじゃないの?




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