誰よりも君の幸せを願ってます

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お昼休み、仁王君と屋上へ行こうと廊下を歩いてたら



「あ、雅治!」


「っ…美、穂」


「一緒にお昼食べよう?」


「…す、まん…無理じゃ」


「えっ」



グイッと腕を引っ張られて前へ出される

ゆっくりと視線を狭山さんに持ってくと、狭山さんは驚いた表情で私を見てた



「今日からコイツと過ごすけぇ」


「…雅、治…?どうしてっ」


「御舟、行くぜよ」


「え、ちょっと…早いι」



パタパタと仁王君を追いかけながら後ろを見ると、狭山さんは悲しい表情をしてた

絶対彼女は仁王君を裏切るような子には見えない。きっと理由があるはずだよ、それも物凄い




「…ねぇ仁王君」


「ん?」


「どうしてあそこで狭山さんに問い質さなかったの?昨日の男は誰じゃー!って」


「お前さん俺を何だと思っとんの?」


「え、普通そうでしょ?」


「…怖かったんじゃよ。美穂を見ると昨日の事がフラッシュバックして」



…見た目以上に仁王君は繊細でした

こんなカッコイイ人を泣かせるとは狭山さんも罪な女だ。自分が悪いと思ってないのかな?

無意識的に私は仁王君の頭を撫でていた



「…なんじゃ」


「今は自分の体調を気遣うと良いよ。狭山さんの事は体調が良くなってからでも遅くないと思う」


「俺は健康体じゃ」


「身体は健康でも今の仁王君の心は病人です…ゆっくり治して行きましょう」


「…」



ギュッ

仁王君が私に抱きついてきた。かすかに震えてるし

私は仁王君の頭を撫でながらもう片方の手で背中をポンポンと優しく叩いた

懐かしいな…私も小さい頃よくお母さんに抱きついてよく頭撫でてもらった



「よしよし。よく我慢してたね」


「っ…俺は、子供じゃなか…」


「中学生の私達はまだまだ子供だよ…だから無理して大人になる事ないし」


「…」


「ね?子供らしく生きよう」



「お前さんの言い方が子供じゃない」と言われてしまった

そりゃあね…兄がカウンセラーで父親が心療内科の医師ならね…嫌でも身についちゃうんだよ



「さて、仁王君タイプの患者にはどういう治療法が良いんだろ?」


「俺はもう患者か」


「うん…そうだなぁ…まずは人に話を聞いてもらうこと。そして安心する人と一緒に居て楽しい気持ちを持つ事」


「…」


「仁王君だと、家族とか仲間とk「御舟じゃ駄目なんか」


「…え?」


「御舟にこうやって話を聞いてもらう事は駄目なんか?」



私、なんかで良いのだろうか?

あ、でも仁王君がそうしたいなら良いと思う



「…仁王君が良いなら私は良いよ」


「じゃあ俺の話聞いてな」


「うん」



ドキドキ

なんだろう、この気持ち。凄く胸の辺りがドキドキする


帰って家族に聞いてもらおう




ドキドキドキドキ



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