誰よりも君の幸せを願ってます

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特別可愛いって訳じゃない

特別頭が良いって訳じゃない

只、只…普通に生きてるだけ。






「…」



放課後、忘れ物を取りにB組へ戻ると薄暗い教室の中一人の生徒が窓の外を眺めてた

あれは確かテニス部の仁王君

…あれ?確か彼にはとても可愛い恋人が居た筈…C組の狭山美穂さん。特別可愛くて頭が良くて男女問わず人気…まぁ簡単に言えば私と真逆な人間

周りからは「お似合いのカップル」とか言われて羨ましがられてたのに…何故彼は一人で居るんだろ?彼女はどうしたんだろ?


仁王君に気づかれずにそろりと教室に入っていくけど



「…空はえぇな」


「ぅえっ…!?」


「何にも悲しい事なく、真っ青で」


「……何かあったの?」



ゆっくりと仁王君に近づきながら聞くと仁王君は黙ってしまった

顔を覗くと悲しい顔をしてた。嗚呼そんな顔をするとカッコイイ顔が台無しですよ



「お前さんは…」


「?」


「もし、好いとぅ奴に裏切られたらどうする?」


「…えーと……問い質す?」


「やっぱ普通に考えたらそうじゃよな」


「…彼女さんと上手く行ってないの?」



何故?今まであんなに仲が良かったのに

一体彼等に何があったの?



「美穂に裏切られたんじゃよ」


「…狭山さんから?」


「ん…いつも通りに美穂を迎えに行ったら…男と抱き合ってた」


「…」


「それに凄ぇ楽しそうで…あれは相当堪えたな」



「初恋の相手だから大事にしてきたつもりだったんに」と天井を見上げて小さく言う仁王君

…狭山さん酷いな…あ、だけど何か理由があるかもしれない



「狭山さんと話してみたら?どうして男と抱き合ってたんだって」


「怖くて聞けん…もし、俺が聞きたくない言葉を言われたら嫌じゃ」



恋と言うのは難しい

恋をした事ない私が言える事じゃないけど…


スゥとハンカチを仁王君に差し出して



「まだ、狭山さんの事好きなら狭山さんを信じてみたら…良いと、思われる」


「…」



どんなに辛く、悲しくても

最後には笑える人生が待ってるんだから


今、頑張って乗り越えればきっと良い事が後で来る



「…ありがとさん…」






空と茜色
(あー…涙が出たのは久しぶりじゃ)
(見てないよ。私は何も見てないからね)



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