短編

□外の世界は私には遠すぎて
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思えば彼女ときちんと“会話”をしたことはなかった。


教室の中で、私の存在を否定する声が聞こえる
ざわざわ ざわざわ。
すごくすごく気持ちが悪い。ぐるぐると頭の中を言葉でいっぱいにされて、廻される。やめてよ やめてよ。視線を。声を。感情を。

私に向けないで。

皆が私の存在を否定する。そんな日々の中で、彼女だけはいつもいつも私に声をかけていた。

「窓付きちゃん。おはよう」

暗い気持ちで教室に一歩踏み出そうとした時、後ろからいつもの彼女の声が聞こえた。
可愛らしくて、それでいて凛としていて、

私とは大違い。

「・・・・・・っ」

声が出ない。おはよう、ってたった四文字の言葉を言うのも、私にとっては苦しくて。

「ちょっとー。また“そいつ”に話しかけてんのー?」

「無駄だよ〜。そいつ喋れないから」

「そんなやつほっといてこっちきなって」

次々と私を罵る言葉。そうよそうよ。彼女は私なんかと関わっちゃ、だめだから。はやく皆のように私を罵って、あっちに行って。

「ごめんね皆。私、窓付きちゃんと友達だから窓付きちゃんのことそんな風に言う人たちとは付き合えないや」


・・・・・・・は?

思わず彼女を見ると、彼女は軽く微笑んだ。
ともだちって・・・なに。いつ私は貴女と友達になったの。私は・・・・・っ。
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