短編
□絡めた指が愛になる
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(確かに恋だった様よりタイトルお借りしました)
「出雲ちゃん」
声をかけると、私を少し睨むようにして、出雲ちゃんは振り向いた
「何よ?」
明らかに不機嫌そうな顔
でも、それは出雲ちゃんお得意の虚勢を張る癖だとすぐわかる
ああ、私はこんなにも出雲ちゃんが好きなのか、と自分の事ながら少し呆れた
「・・・・・朴ちゃんのこと?」
「!!」
あ、反応した
さっきまで不機嫌そうだったのに、朴ちゃんの名前には反応する
そんな出雲ちゃんが愛しくて憎かった
「なん、で・・・よ?」
「わかるよ。出雲ちゃんは朴ちゃんがだーい好きだもんねぇ」
わざと“だーい好き”の部分を強調して言う
案の定出雲ちゃんは、ピクリと眉毛を動かした
「あんた・・っ馬鹿にしてるの?」
「まさか」
馬鹿にしてるわけじゃない
私の勝手な子供のような感情
所謂、嫉妬ってだけだからさ
「出雲ちゃんは、いつも朴ちゃんのこと見てるもんね」
今度は特にどこかを強調するというわけでもなく、ただ言葉を述べただけ
すると、どうしたのだろう
出雲ちゃんがすっと私に寄り添って、指を絡めてきた
「あんたって、ホントに馬鹿ね」
「はは、よく言われるよ。出雲ちゃんだけにだけどね」
絡めた指が愛になる
(結局お互い、)(嫉妬していた)