短編
□一方通行の恋
1ページ/1ページ
「無理だって言ってるだろ」
「やだ!好きだもん!」
ただ、駄々をこねてるだけだって分かってる。だけど止められないんだ。
一方通行の恋
「だから、俺には彼女がいるし、お前の事を友達以上には思えないんだ。」
「やだ!なんで、うー…」
もう無理なのは分かりきってるの。でも諦められないんだよ。
ずっと溜めてた想いが滴になってあふれ出る。
「うあーん…トシのばかー!」
トシはもう呆れて頭をかいている。
―分かってた。
トシが彼女を本気で好きなことも、彼女にしか見せない笑顔があることも。
でもきっと心の片隅で、もしかしたら…とか実は…なんてこと考えてたんだ。
そんなわけ、ないのに。
そんな自分に嫌気がさす。
「トシ…ぐすっ、好き。」
「…ありがてぇが、ごめんな。」
もう、これ以上言っても仕方ないんだ。
トシの想いがあたしに向くわけないし、しつこいヤツは嫌われるんだから。
「うん……あたしこそ、困らせてごめん。もう、大丈夫だから。」
あたしがそう言うと、トシはあたしを気にしながらも、去っていった。
「うっ…」
目から止まらない涙は、あたしの行き場のない想い。
ごめんね。
あたしのモノにならなくてもいいから
誰のモノにもならないで欲しかったよ。
これはあたしのエゴだけど。
end...