-さよなら僕の片想い-

□ハートフル・バレンタイン
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2月になると学校では女の子達が
クラスの男の子達の誰にチョコを
渡そうか自然に話がもちあがる。

女子達はグループごとにわかれて
男子達には聞こえないようにそこで
ヒソヒソ話をする。

決まって女子達がチョコをあげたい男子は
クラスの中で一番人気の男子生徒に
女子達はチョコを渡したくなる。

どこからともなく聞きなれた
男子生徒の名前があちらこちらで
飛び交う。

「私、××君にチョコを絶対渡す!!」

「あたしも××君!」

「私は××君がいいな♪」

女子達は賑やかに誰にチョコを渡すか
そわそわしながら話していた。

男子達がふざけて話に割り込むと。

女子達は来た男子を威嚇しながら
軽くあしらう。

「ちょっとアンタ!」

「勝手に私達の会話に割り込まないでくれる!?」

女子達はそう言うとフザケに来た
男子を睨む。

男子は女子に怒られると肩をおとして
退散する。

女子達は男子が消えるとふたたび
チョコの話で盛り上がった。

僕はそんな教室の中でホウキをもって
床のゴミを黙々と掃いていた。

女子達は掃除の時間もお構いなしに。

チョコの話で盛り上がっていた。

4人の女子は教室の掃除当番なのに。

全然掃除をする気配がなかった。

僕ともう一人の男子は女子達に
注意する事もなく。

ひたすら掃除をしていた。

一度注意したけど女子達は
僕達の注意を無視して話を続けていた。

もう一人の男子が僕にヒソヒソ話を
してきた。

「全然駄目だよアレ」

「女子達すっかりチョコの話で夢中だよ」

「楠原」

「俺達だけで掃除とっとと終わらそうぜ!」

もう一人の男子は僕にそう話してきた。

僕は隣で相づちをした。

「うん」

僕達が掃除をしていると女子達は
いきなり自分の鞄をもって。

無断で帰ろうとした。

僕は止めにはいったが女子達は全然
聞いてくれなかった。

それどころか急いでいた
様子だった。

女子の一人が僕達に言ってきた。

「ゴメン楠原君!」

「教室の掃除よろしくね!」

「私達今からチョコ買いに行くんだ♪」

女子達は浮かれていた。

僕はあきれながら返事を返した。

「……わかった」

「後は任せて!」

女子が僕に有り難うと僕に言うと、
慌ただしく教室を出ていった。

僕達2人は教室の掃除をやっと終えると。

僕はホウキとちりとりを持って。

掃除のロッカーの中にそれを片付けた。


「……ふぅ」


「バレンタインか…――」


僕はロッカーのまえでボンヤリと
そう呟いた。
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