blmemo
そぞろに
書きたい、書きかけ、書いてるネタを詰めていく。
※腐向け
◆酔った 5
「……ごめんね」
「あ?」
唐突な謝罪に小十郎は思わず間抜けな声を上げていた。
コーヒーのマグカップから口を離して隣を見れば、そこには申し訳無さそうに力無く笑う佐助がいる。
「仕事で疲れてるのにこんな手間掛けさせて、ほんとにごめん。もう大丈夫だから、小十郎さんは先に休んでよ」
明日も仕事でしょ?
そう言って佐助は微笑む。
小十郎はその微笑をじっと見詰めた。
2012/01/04(Wed) 04:31
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◆酔った 4
佐助の症状が落ち着いたのは、それから数十分後の事だった。
せりあがる嘔吐感は形を潜めたものの、まだ胸がむかむかすると言う。そんな状態で寝かせるのも心許なく、もう少し落ち着くまで待とうとリビングへ移動した。
「まだ辛ぇか?」
「……だいぶ、楽になった…」
ソファーにもたれた佐助がちびちびと水を飲みながら答えた。不調の名残か、目に見えてぐったりした様子だ。声が掠れてしまっているのは、吐いた胃液に喉を焼かれたせいだろう。少量といえど強酸には変わりない。
佐助が半分に減った水を見下ろし、手慰みにちゃぷちゃぷと揺らしながらぽつりと口を開く。
「……ごめんね」
2011/12/24(Sat) 00:25
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◆放置物
暗闇の中に、橙色の明かりがぼんやりと浮かび上がっている。
燈された一つの灯籠。
その傍らの上質な褥に寝かされていた佐助が、小さく呻いて目を開けた。
緩慢にさ迷わせた視線の先には、光の届かぬ暗い天井。
佐助にとっては見慣れた光景である。
「目が覚めたか」
呆けたようにゆっくり瞬いているとぼやける視界に男が入り込んできた。
艶やかな黒髪を後ろに撫で付けた、頬に裂傷跡のある怖面の男だ。厳しい目元。しかしそこに嵌められた瞳は、穏やかで深い色をしている。
彼が微笑んでくれた時、この瞳があたたかく撓められる様が佐助は好きだ。怒りを感じた時の刃のような鋭さも、恐ろしくはあるが嫌いではない。多くを語らない彼の気持ちを教えてくれる、この双眸が大好きだ。
双眸だけでなく、彼の全てが好きなのだ。
矜持を貫く堅い意志が。
包み込むような包容力が。
自分を孤独から救ってくれた、彼の優しさが。
だから佐助は、逃げる事が出来なかった。
「っ…放、せ!」
+++++
ここまで書いて放置してた物。
どう続けようかな…(悩)
2011/12/23(Fri) 01:43
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◆酔った 3
しかし、本当に辛い時は無理せず戻した方が良い。だからいつでも吐けるよう、落ち着くまでトイレに篭らせている。
「…ぅ…う〜…」
「我慢すんな。出そうだったら出しちまえ」
「ぅ…ごめ、ん…」
「いい、構うな」
気持ち悪さに涙を滲ませる佐助の頭を撫でて「気にするな」と言ってやる。これが少しでも労りになっていればいい。
悪酔いした時の込み上げてくる不快感は堪え難い。小十郎にも覚えがあるから、出来るだけ早く楽になるよう願って肉の薄い背中を摩る。
「くっ…ぅえ…」
佐助がえずき、咳込みながら唾を吐く。白い陶器に垂れたそれには、ほんの少し胃液が混じっているだけだった。
2011/12/21(Wed) 13:05
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◆真田主従 〜雪うさぎ〜
「むぅ…俺には上手く作れぬ…佐助は真に器用だな!」
俺様の手の中の雪うさぎを見て、旦那が年甲斐も無く無邪気に笑った。
牡丹雪が静かに降る中、「俺は不器用だから」と鼻先が赤い、幼い顔で。
違うよ旦那。旦那が雪うさぎを作れないのは、不器用だからじゃなくてあったかいからだよ。
俺様が雪うさぎを作れるのは、俺様の手が凍えるように冷え切ってるからだよ。
毒に慣れた身体は、血の巡りが悪くて人らしいぬくもりなどとうの昔に失っている。
死人のようなこの氷の手に、あんたは今も臆する事なく触れてくる。椛のように小さくて柔かだった手が、胼胝だらけで硬いそれに変わっても。熱いくらいの体温を俺に分け与えてくれるんだ。
「旦那はあったかいね」
あったかい、あったかい。
俺様が触れているところから、そのぬくもりが消えていくと分かっていても。
俺様はこの人の手を、放す事なんて出来なかった。
2011/12/20(Tue) 23:41
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◆酔った 2
「…ぅ…ぇ…っ」
洋式トイレに手をついた佐助がえふえふと苦しそうにえずく。しかし上手く吐けないようで、開きっぱなしの彼の口からは唾液が糸を引いて落ちるだけだった。小十郎は彼が少しでも楽になるようにその背をずっと摩ってやっている。口に手を突っ込んで嘔吐を促してやろうかと思ったが、佐助が薬を飲んで来たと言うのでやめた。それなら吐かせず、薬が効くのを待った方が楽になるのが早いだろうと考えた。
2011/12/20(Tue) 00:20
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◆酔った
佐助が酔っ払って帰って来た。
「こじゅーろーさんただいまー!!」
「うおっ…!?」
玄関を開けた途端勢い良く抱き着かれ後ろに数歩たたらを踏む。反射的に抱き留めた佐助からは濃い酒の香りがした。
俺の肩に顔を埋めた佐助は「んふふー」と何やら上機嫌。相当出来上がっている事は火を見るよりも明かで、思わず呆れの溜息が出た。
一先ず、佐助を送ってくれた彼の同僚らしき人物に礼を述べて帰らせる。玄関の鍵を閉め、首にかじりついている佐助の背を叩き声を掛けた。
「おい、歩けるか?」
「ん……だいじょー、ぶ…」
眠くなったようで、彼の口調は舌足らずになっていた。大丈夫と言う割りに膝が崩れかけているから全く説得力が無い。
覚束ない足取りの佐助を半ば引き擦るようにしてリビングへ向かう。しかし佐助が首にかじりついたままなのでどうも歩き難い。少し離れろと言ってもいやいやと首を振るだけだ。いっそ抱き上げてしまった方が楽かと思い彼の膝裏に手を入れようとしたところで、その彼が苦しげに呻く。
まさかと嫌な予感を覚えた直後、まるでその答えのように耳元で「ぎもちわるい゙…」と呻かれてぎょっとした。
「待て待て待て!今トイレ連れてってやる…!」
「…ゔ〜…」
青い顔で半ベソをかく佐助を抱え、小十郎はトイレへ進路変更したのだった。
2011/12/19(Mon) 10:03
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