ウサビッチ

□逃げ出したウサギ
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「あぁやっちゃった・・・殺される!」


雑誌に穴が!


僕は決してわざと雑誌に穴を開けたわけじゃないんです!


ただモスクビッチ(車)をカスタマイズしていて、ちょっとした事故で・・・。


モスクビッチに歯磨き機能をつけるまでは良かったのに。


ただ、その機能をテストするために歯磨きボタンを押したのが僕の間違いだった!


ボタンを押したら、車から歯ブラシが出てきて少し荒っぽいけど
僕の歯をゴシゴシ磨いてくれた。


でも、その後が問題だった。


口から歯ブラシが離れたとたん、モスクビッチは僕の鼻をゴシゴシし始めた。


僕は思わず鼻が痒くなり、クシュンっとくしゃみをした。


そして、問題が起こった。


くしゃみをしたことで歯ブラシは後部座席にポーンと飛んでいった。


ザクっ!


キレネンコさんの大切な雑誌に穴を開けてしまった。


前に、二人組みのお巡りさん達がキレネンコさんを銃で撃ったとき雑誌に穴が一つ開いた。


そのときのキレネンコさんの尋常じゃないキレ方は今でも忘れはしない。


「あああぁぁぁあ どうしようぉ!」


モスクビッチの中でパニックになっているプーチン。


そして、車の外で趣味のシューズ磨きを終えて車に戻ってくるキレネンコがプーチンの目に入る。


「どうしよう! キレネンコさん戻って来ちゃった・・・!」


何も知らないキレネンコは車に乗り込む。


(とりあえず、気づかないまで知らん振りしなきゃっ!)


そんなことを思っていたプーチンだったがキレネンコはすぐに異変に気づく。


キレネンコは座席に放り出された雑誌を手にとり、一つだった穴が二つに増えているのを確認する。


そんな、恐ろしい光景をプーチンは心臓ばっくんばっくんの状態で鏡ごしに見ていた。


すると、キレネンコはバッとすばやく鏡ごしのプーチンを見た。

「はっ!」


プーチンもすばやく鏡から視線をはずす。


(ああぁ バレた。絶対バレた。)


そして、後ろからゆっくりと殺気を放ったキレネンコが近づいてくる。


「おまえ、俺のモノに何しやがっぁ・・・」


「あああああ! ごめんなさぁい!!!」


プーチンは非常時(キレネンコがキレた時用)ボタンを押した。


ボーーーン。
車から椅子ごと脱出!

まるで、かの有名な怪盗ルパ○三世ののように。

「はぁ はぁ はぁ怖かった」


空中で呼吸を整えるプーチン。


ふと足元を見てみると
「わぁ きれいだぁ」

足元には色とりどりの花畑があった。


「わぁ〜ぁ あとちょっと♪」

ゆっくりと地面が近づいてきた。


その時。

キキィ――――ィ!


「おまえ、俺から逃げられると思うなよ?」

「うわぁぁぁぁあぁぁ!!!」


ガシっ!

キレネンコはゆっくり降りてきたプーチンの腕を掴みそのまま勢いよく自分の目の前に持ってきた。

「ごめんなさい ごめんなさい!!わざとじゃないんです!
車を改造していたらちょっとした事故で雑誌に穴があィッムゥ!」


ギュウ・・・。


キレネンコは優しくプーチンを抱きしめた。

・・・あれ?



「二度と俺から逃げようとするな」

「あれ・・・えっ?怒らないんですか?」

突然抱きしめられたプーチンはキレネンコの胸に顔が埋まりながらも問いかけた。

「あぁ おまえにはもう怒らない。だから 逃げるな。わかったな?」

「はっはい」


プーチンは赤面した顔を見られないように深くキレネンコの胸に顔を押し付けた。







「・・・おい」

「何ですか?」

「今日の事、忘れるなよ?・・・」

「何でですか?」

「近いうちにお仕置する。」

「・・・・えぇぇーーーーー!!!!!」



(俺から逃げるおまえが悪い)




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