LIAR
□truth
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リョウがマユミと知り合ったのは、リョウがブルームに勤めるようになってからの話らしい。
「当時は昼も夜もとにかく働いて、今より金を貯めるのに必死だったなあ」
貯金ができると海外へ短期留学を繰り越していたとリョウは告白した。
夢しか見ていなかった、と。
「よくみんなで店にスナック菓子とか持ち込んで騒いだよ」
そこには幸せに微笑む名無しさんがいたんだろうと想像してみる。
「…だからマユミとケイスケがおかしいことにも全然気づかなくて」
「リョウ…」
俺の想像する名無しさんの微笑みは、同時にリョウに後悔の痛みを与えてしまう。
「ユノ…俺ってダサいよな」
友達の心をなぐさめる言葉すらすぐに思いつかない俺は、黙って首を横に振るしかなかった。