LIAR

□heart
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部屋のインターホンを押すと、名無しさんはすんなりとドアを開けてくれた。


「…とにかく入って」


「…おじゃまします」


前は玄関にリョウを下ろして、すぐに部屋から出た。

女性のプライベートをのぞくのは失礼だと思ったから、できるだけ見ないようにもしていた。


出されたスリッパに足を入れて、改めて名無しさんの世界に踏み出す。

ずっと奥に長い部屋の真ん中は、立派なキッチンが占めている。

今日はいい匂いはしない。

神経質に片付けられたシンクやコンロには何も物は置かれていなかった。

キッチン以外にも基本的に部屋に物はほとんどなかった。

生活の温度が低い。
モデルルームにでも来たみたいに整然とした部屋に俺は驚いた。

なんて寂しい部屋なんだろう


「ユノ、座って?」
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