LIAR
□deviltry
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栗色の長い髪と、その独特の話し方には聞き覚えがあった。
可愛いらしい笑顔で、スタッフ達と楽しげに談笑している。
ちらりと一瞬目が合った。
俺の視線に気がついた彼女は、驚いた様子も見せずにこちらに笑いかけてくる。
「ユノ、次だよ」
マネージャーが俺に順番を伝える。
「…わかりました」
俺は歩いて来るユチョンと入れ代わりでカメラの前に立った。
「ユンホ、目線こっちね」
「はい、了解です」
カメラマンの要求通りに目線を送る。ポーズを変えながら、フラッシュを浴びては別の表情を作っていく。
「いいねえ、ユンホ。もっとセクシーに決めてみようか」
ヒートアップしていくカメラマンのずっと後ろに、彼女が立っているのが見えた。
俺をじっと見つめて何か言いたげな様子の…あの日の帰りに出会った彼女だ。