LIAR
□願い
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−私には贅沢過ぎる夢を見たから、罰が当たったんだ。
ユノと別れてから自分の部屋に戻るまでの記憶はひどく曖昧なものだった。
電車に乗ってた?
コンビニに寄ったんだっけ?
…駅からちゃんと歩いて帰ってきた?
鞄を探って携帯を取り出す。
「…誰に何を言うつもり…?」
私は自嘲した。
恐くなって逃げてきたくせに
マユミからも
…ユノからも
可愛いらしいマユミの笑顔を見た瞬間に私は暗闇に落ちてしまった。
首を傾げて笑うところも、甘えるような喋り方も二年前とちっとも変わらない。
マユミは私が前に勤めていた会社で知り合った、いちばん仲の良い友達だった。
いつも一緒にいて、なんでも相談しあって、誰より信頼できる存在。
「…マユミ……」
できることなら、会いたくなかった。