LIAR
□sudden
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コートを手早く羽織り、名無しさんの帰り支度を手伝おうとしていた時に携帯が鳴りだした。
「私、外で待ってるね」
「じゃあ、タクシーに乗って待ってて。場所は分かる?」
「ん、大丈夫」
名無しさんは俺の手からコートを受け取ると静かに部屋の外へ出て行った。
「…ジェジュン?」
つまらない内容だったら
「あっ、ユノ?楽しんでるう?」
「…殺す」
俺はさっさと携帯の電源を切ってポケットにしまった。サングラスを取り出して、名無しさんの後を追う。
少しの時間も無駄にしたくない。
名無しさんをできるだけ近くに感じていたいし、感じて欲しい。
はやる想いで、俺は自然と早足になった。