LIAR
□decision
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名無しさんが持ってきてくれた沢山のお寿司は、レコーディング中のメンバーと、スタッフのお腹をしっかり満足させてくれた。
「お、手まり寿司じゃん」
スタッフが丸い形のサーモンのお寿司を取って言った。
「挟んだカイワレ大根もいいね」
「稲荷寿司も、ひじき入りだよ」
みんなが食べて笑顔になる。
手作りのパワーって、すごいな。
「鰻のお寿司、美味しーい」
「キムチとチーズのお寿司、好きー」
こんなに大量の差し入れを、名無しさんひとりで作ってくれたんだよな。
今日は何時に起きたんだろう。
一体どのくらい時間がかかったんだろう。
「愛情感じるねえ、こういうの」
スタッフのひとりが言った。
…愛情、だといいな。
俺は巻き寿司を口に運んだ。
卵がほろり、と優しい。
「美味しいよ、名無しさん」
君の顔を見ながら、言いたい。