LIAR
□期待
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リョウ以外の人の為に料理を作るなんて、どのくらいぶりだろう。
私はふとキッチンで考えた。
たくさん食材を買い込んで
たくさんご飯を炊いて
お鍋やボウルも総動員
「…運動会みたい」
子供の頃の風景を思い出した。
朝からせわしなく働くお母さん
卵を焼いて
おにぎりを握って
海老フライも
ハンバーグも
デザートはりんごをウサギにしてね
はしゃいでおねだりする私に
「はいはい、分かってます」
忙しそうに返事をする
懐かしい、温かい記憶
甘く煮た油揚げには、ひじきを混ぜたご飯を詰めて
キムチとチーズ
レタスと牛肉
バランスよく巻いていく
あの時のお母さんも、こんな気持ちでキッチンに立っていたんだろうか
「…喜んでくれるかな」