LIAR
□甘い驚き
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全身の関節が痛い。
身体を動かす度に、骨がきしむ。
だるくてベッドから出られない。
「今、何時なの…?」
手探りで携帯を探す。
いつもはサイドテーブルの上。読みかけの本の側に乗せてある。
−あった。
「3時?」
開いた携帯の時刻。
カーテンがぴったり閉まった部屋には、光は全く差し込まない。
私は、自分がどちらに向かって歩けばいいのか分からなかった。
「リョウ?」
むやみに大きな声で呼んだ。
「リョウ…」
助けて。
苦しいよ。
サイドテーブルには、空っぽのワインのボトルと、氷が溶け残ったグラス。
久しぶりの深酒に、身体が悲鳴をあげているらしい。
「リョウが悪いんだから」
あんたが酔い潰れたりするから。
ひとり、毒づいた。