LIAR
□first contact
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名前を呼ばれて、びくりとした。
まずい、見つかったか?
いや、…とにかく冷静に。
俺はゆっくりと声の主の方へと顔を向けた。
「…お迎えに来ました。お二方は店の中でお待ちですから」
控えめに微笑んで、その女性が言った。
「あ、りがとうございます」
…よかった。
俺はこっそり安堵した。
それなら電話でそう言っておいてくれたら慌てなくて済んだのに。
俺を呼び出した二人に心の中で文句を言う。
「…こっちです」
少し先を行く彼女について歩きながら、やれやれと思う。
俺が少し神経質になりすぎているのかな。