LIAR
□first contact
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「…ここか?」
−Bloom《ブルーム》
俺は携帯のコールボタンを押した。履歴には同じ名前がずらり並んでいる。
全く。
「俺だけど。多分、店の前に居る」
賑やかな音が耳に飛び込んできた。
相当にテンションも上がっているようだ。
「え?ああ、分かった」
電話を切って、鞄にほうり込む。
ついでに取り出したサングラスをかけて、出来る限り自分の気配を隠した。
平日の夜だから、それほど街に人はあふれていない。
ひんやりとした風が頬に当たって、そろそろ秋の終わりを感じさせた。
「あの。ユノさん、でしょうか?」