envy…
□私らしい別れ
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店を辞めたいと店長に話したのは、ユチョンが韓国へ帰った日の夜だった。
「何か不満があるんでしょうか?僕で何とか出来ることなら、努力します」
ボーイが掃除を終えたテーブルに店長は烏龍茶を二つ置いた。
「いいえ…」
私はそれを少し飲んだ。
「…余所に引き抜き、とか」
「まさか。他で働く気なんかありません」
真意を図るような表情。
私は店長から目を逸らさなかった。
沈黙が流れて、しばらくすると
「…分かりました」
仕方ないですね、と店長は肩を落とした。
「じゃあ、今月いっぱいで…すみません」
「了解しました」
掃除の邪魔をしないように、ボーイ達の間を足早に抜けた。
「お疲れ様でした!」
店長とボーイの声が響く店内に、私は軽く手を振った。