envy…
□逆らえない唇
2ページ/5ページ
「…ウルジマ、名無しさん」
言葉が分からなくても意味は理解出来た。
私は指で目頭を強く押さえた。
矛盾が心を切り裂く。
それでも言わなければならなかった。
「…仕返しのつもりでユチョンと付き合ってた」
彼の瞬きがスローモーションに見えた。
…ゲームだったの。
「どうしてそんなこと言うの…」
ユチョンの吐息にはチョコレートの匂いが混ざっていた。
「本当のことだから」
「信じない」
「ユチョン」
「もう、黙って」
背中を通る腕が熱かった。
手が触れる腰が熱かった。
「ユチョン…」
「好き、って言ってよ」
耳も熱かった。
「…………すき」
「じゃあ…キスしてよ」
私はユチョンのシャツを引き寄せた。